「親切な人たち」

今から、20年以上前の話です。

当時、私は興味本位からアルバイトで
水商売の仕事(ホステス)をやっていました。
働いていた先は、会員制のクラブ
当時、世の中はまだ景気が良かったので、
結構お金持ちの会社の社長さんクラスの方が毎日のようにお店にきました。

私も何回か同伴したりして、稼ぎもそこそこにありました。
そこのお店は、午前0時で閉店でしたので、
その後はお客様から誘われて飲みにいくこともしばしば。
でも飲むだけで、それ以上のことはなかったんです。
皆さん、節度があったんですね。

ある日、閉店後に誘われ、飲みに行きました。
そして、1時間くらいそのお店にいたでしょうか。
一緒に飲んでいた人から ホテルに行こう と誘われました。
でも私はその気はなかったので断ると、
その人はさっさと私をおいてひとりで帰ってしまいました。

置いていかれた私は、このままお店にいても仕方ないので、
タクシーを呼ぼうと電話したのですが、
なにしろ金曜日の深夜ということで、
タクシーはなかなかつかまらず・・・。

途方にくれたまま、かなりの時間がたっていました。
と、そこへ一人の男性が声をかけてきたのです。

どうしたの?と。

私はいきさつを話し、家に帰れないと言うと、

じゃ、何か食べに行こうか、

と誘われました。

一人だと思っていた相手は、4,5人のグループでした。
その中の一人は 和装のお年寄り で。

お店を出て、ラーメン屋さんに入り、おなかを満たすと
今度は車に乗り、クラブのようなところに連れて行かれました。

お店は、グランドピアノの生演奏があり、かなり高級そうなところでした。
少し一緒に飲んでいましたが、もうそろそろ帰りたかったので、
帰りたいと告げると、そのお年寄りがタクシーを呼んでくれたのですが・・・。

ふと手を見たら、指が1本ありませんでした

これは大変。

早く帰らないと、とタクシーを待っている間、気が焦るばかり。
やっとタクシーがきて、私は無事家に帰れたのですが、
今思えば、あの時その人たちにどこかに連れて行かれて回されて、
挙句の果てに殺されていてもおかしくない状況であり・・・。

若気の至りとはいえ、何と無防備で恐ろしいことをしていたもんだと、
思い出すたびに冷汗がでます。

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