「夜走り」
午前2時過ぎ、蒸し蒸しの熱帯夜で、とても寝ては居られない程の夜でした。
暗い闇の向こうで、遠方から足音がかすかに聞こえ、ベッドから起きて、
窓の方へ見に 行くと網戸越しに、前方の通りを右から左へ走るランナーを確認しました。
ウエアの上下に微光ラインのがかすかに闇の中に浮かんでました。ここはマンションの8階、
「深夜2時にマラソンか、きっと眠れないんだ」
と思い キッチンで麦茶を飲み、再び寝室へ戻ると、再び足音…、
前回より多少大きな 音です、で、網戸を見て凍りつきました、
ランナーは網戸の外、つまりマンションの 8階、つまり空中を走って行ったのです、
何だあれ?
網戸を開け外へ首を出し 確認してる時、
「ガチャッ」
玄関のドアが開き、何かの気配を感じ振向くと、
玄関には、先程のランナーが突っ立って、部屋の中を走って
こっちへ向かって 来るではありませんか、心拍数が180を超え、脳内のセロトニントランスポーターが 沸騰し、
恐怖のバロメーターの針が振り切れ、驚き過ぎ声も出ず、その場へ、
へたり込むと 先程のランナーは、そのまま走ってきて、
自分の目の前を飛び越し窓壁を擦り抜け外へと 消えて行きました。理由は不明ですが、ランナーには
首が無く、血まみれの首を右脇に抱えていました。首は、笑っていました、 首は、自分でした。