「落書き」
F町のT公園内のはずれにある小さく古い公衆トイレ。そこ
は、かなり薄汚れ、落書きだらけで臭いもきつく、出来れば遠
慮したいレベルのトイレでした、深夜1時過ぎ学生時代の心霊
クラブの同級生達と怪談百物語をして結局、何事も起きなかっ
た家への帰り道、どうやら自宅まで、持ちそうも無くやむを得
ず、車内のティッシュを手に、慌てて飛び込んだ、このトイレ。
切れ掛かってる蛍光灯の為か内部は、かなり薄暗く、おまけに
熱帯夜で無風、ツンと来る悪臭も相変わらずで、今夜は特に臭
い、蒸し暑さ、湿度も普段以上でした。しかし、背に腹は変えられず、用を足し、一息ホッとつきな
がら、ふと目の高さの落書きが嫌でも目に飛び込んできました。
落書きは「右を見ろ」
と書かれており、右を見ると
「後ろを見ろ」
と書かれており、かなり苦しい体勢で後方のドアを見ると、
そこには「上を見ろ」
と書かれていました、何だこの落書きは、
どこの暇人がこんな落書きを書いたんだと思いながらも上を見
上げたんです、すると天井に巨大な「目」の落描きがあったん
です。
リアルにまつ毛まで描かれており、まなこは黒一色、何だ、
この落書きは?誰が何の為に何の目的があってこんな手の込ん
だ、デカ目を天井なんかに、とは思ったものの、とりあえずさ
っさと用を済ませ、水を流し、再び天井に目をやると、鳥肌が
全身に走り、背筋が凍りつきました…、
天井の目の落書きのマブタが、閉じていたんです……。