「お経」

 「眠れない」 Eさんは、ついに深夜、飛び起きまし
た。友人のBが亡くなり、午前中、葬式へ出かけ帰宅し
てからと言うもの、何故かその時のお坊さんの「お経」
が一日中かすかに耳に付き、夜になっても睡眠どころで
はなかったのです。
 ここの所、やたら熱帯夜の連続で、ただでさえ寝不足
なのに、今度はお経?とにかく、寝とかねば、明日の仕
事に差し支えます。しかし、無理やり寝ようとすればす
るほど、ますます目が冴え、耳もとの小声のお経が気に
なって仕方がありません。

 「フゥ」と、ため息と同時にベットから起き上がった
Eさんは、冷たい物でも飲もうと台所へ移動、そこで冷
蔵庫を空け、慌てて閉めました。
どー言う訳か、冷蔵庫を開けた瞬間、何故か「お経」が
大きく鮮明に耳に飛び込んで来たのです。
どー言う事?再び冷蔵庫を開け、急いで閉めます、間違
いありません確実に冷蔵庫の中から「お経」しかも大声
でより鮮明に聞こえてきました、
何故?どーして?
冷たい物を諦め、水を飲もうと、今度はグラスを手に、
水道の蛇口をひねります、
何?うそ?
今度は、蛇口から水道水と、「お経」が大音響で出てい
るではありませんか気持ちが悪くなり、寝室に戻るEさ
ん。落ち着こうと、リモコンでTVを付けます。
????

TV画面は、深夜のローカルお笑い番組をやってるのに、
音声が「お経」ではありませんかひょっとして、自分の
頭は大丈夫かとTVを消し、ラジオを付けました、「う
っ?」今度はラジオからお経が、流れてます、いったい、
全体、何がどーしてどーなってるのかさっぱり訳が分り
ません、
もしかしたら TVのドッキリ? 誰かの悪戯? 何か
の陰謀?
必死で考え悩んでみても検討もつきません、Eさんは、
急いで洗面所へ行き蛇口を捻りお経つきの水道水を頭か
ら被ります、とにかく頭を冷やし冷静になって落ち着く
んだと自分に言い聞かせながら、濡れネズミとなり洗面
台の鏡を見た瞬間凍りつき、
全てを悟りました。
鏡の中のEさんの両耳に、何と半透明のお坊さんが2
人、耳に口を近づけて「お経」を読んでいたのです。
その瞬間、Eさんは、自分が1年前、友人の葬式からの
帰宅中、事故に遭いすでに死んでた事を、思い出したの
です。
そして、絶望してるEさんの後ろでは、亡くなったは
ずのBが、薄笑いを浮かべ、恐ろしい形相で睨みつけ、
立っていたそうです。  (完)

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