「おじさん、誰?」

もう何年も前の話ですが、夜いわゆる金縛りにあったんです。
昔からけっこう金縛りをはじめ色々変なもの見たり聞いたりする
体質だったのですが、その夜の金縛りは、はっきり小柄なおじさ
んが、チューリップハットっていうのかな、金田一耕介がかぶっ
ているようなぼうしをかぶって、私の右ひざのあたりにすわって、
うつむいてるんです。
だいたい金縛りの前は、いきなりピーって耳鳴りが始まるのです
が、そのひもそうでおとなしくしていたんですが、思わぬゲスト
に目が覚めてしまいました。あーいやだなーとおもいつつ、
「おじいちゃんなの?」って声を出して聞いてみました。
そうしたら、そのおじさん、無言で首を横に振りました。もう鳥
肌がたってしまって、目を閉じてしばらく待っていたら、
すーっと消えてくれたんです。
次の日バイトにいくと、友達のけいちゃんが来ていなくて、店長
に、けいちゃんは今日休みですか?って聞いたら店長が、「けい
ちゃんのお父さん殺されたって田舎から連絡が入って、今日の朝
の便で帰ったんだよ。」って聞かされました。
なんかいやな予感だなーと思って落ちつかないまま、半月が過ぎ
て、けいちゃんが田舎から戻ってきました。本当は聞きたいこと
が山ほどあったけれど、なんと言ってあげてよいかわからなくて、
でもけいちゃんのお父さんってどういう感じの人、とか聞き出し
たら、けいちゃんの結婚式の写真を見せてくれて、なんとその人
があの夜のゲストのおじさんそっくり。そのお父さんは、農家だ
ったらしく、やっぱりよくぼうしはかぶっていたそうなんです。
何で私のところに来たの?今でもわからないし、その日以来おじ
さんとも会っていません。


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