「ジャージ兄ちゃん」

秋のお彼岸に母方の祖父のお墓参りに行きました。
祖父のお墓参りにはいつも 叔母や叔父家族も来ます。
まだみんなが集まってなかったので、ただ待っているのも
何だったので、 ひとりでお墓に行き、掃除をしました。
墓石はとても汚れていて、「おじいちゃん、背中かゆかったでしょ〜」
と独り言を言いながら、 ゴシゴシたわしでこすり、すっかりきれいにしました。
その日の晩の出来事です。在宅で仕事をしている私は、急ぎの仕事が入ったので、
夜中にひとりパソコンに向かい、仕事をしていました。
後ろに人の気配を感じて振り返ると、窓の前に祖父がいました。
見えたのは上半身だけ、なぜか大きく。
こわくなかったし、ほんとに急いでいたので、
「何だ、おじいちゃんか」と思い そのまま仕事を続けました。
そうしたら、私が座っていた椅子がガクガク!と 横に揺れました。
まるで誰かが後ろに立ち、椅子の両肘を持って揺らしたような 感覚です。
知らん振りした私に祖父が腹を立てたのでしょうか?掃除をした
お礼を言いに来てくれたのかもしれませんね。

その日以来、少年が見えるようになりました。
年のころは10代後半から20代前半です。
いつもジャージを着ているので、「ジャージ兄ちゃん」と呼んでます。
どのように見えるかと言うと、視界の端ではハッキリ見えるのに、
ちゃんと 見ようとすると、すぐに見えなくなってしまうかんじです。
一度など、近所に ダンナと食事をしに行ったら、その少年が後ろで体育座りをして、
楽しげに私を ずっと見ていて、帰りも私たちの後ろをずっとついてきているのです。
ダンナは 見えなかったようです。

それから家の中でもちょくちょく彼を見るようになりました。
食事の支度をして いて横に気配を感じると、 てっきりダンナが
何を作っているのか見に来たのかと 思うくらいのリアルな気配です。
ダンナは「お前はいつも疲れているからきっと気のせいだ」
と取り合ってくれませんでした。 私はその少年は誰なんだろう、
この部屋に以前住んでいたのか、それともうちの前の道路で事故に
遭って亡くなった子なんだろうか・・・と考えていました。

ある晩ダンナと些細なことでケンカをして、頭にきていた私はうちを出ました。
怒りに任せてずんずんと歩いていき、川のそばにある小さな公園に行きました。
ブランコに乗って色々考え事をしている間、川に沿ってある道路がジョギングコース
になっているので、ジョギングやウォーキングをしている人たちの話し声が聞こえて
きました。私が「ちくしょ〜離婚したるか」と思った途端、耳元で 「ねえさん、やめなよ」
という若い男の声が聞こえました。びっくりして振り返 ると、後ろはツツジの植込みを
はさんで道路があり、サウナスーツを着て連れ立 ってウォーキングをしているおばちゃん
たち。男性はいません。それに私は声に 出して言ったのではないので、「やめなよ」
などど言われるはずもありません。 こわくなった私はすぐうちに帰りました。

あれは「ジャージ兄ちゃん」だったのか?と思いましたが、なぜ私のことを
「ねえさん」と呼んだのだろう・・・。私には弟がいますが、決して「ねえさん」
とは呼びません。ふと思い出しだのですが、私と弟の間にはある事情でこの世に
生まれなかった子がいるのです。あの声と「ジャージ兄ちゃん」は、もしかして
その子なんでしょうか?それから彼を見てもこわくなくなりました。

私の気のせいだと思ってましたが、弟の子供の双子が、私のうちで、
ある方向を 指差して「いた!」と言った時はギョっとしました。
そこは私が彼をよく見る ところでした。実は弟の住んでいるマンション
にも出るとのことで、弟は毎晩の ように金縛りに遭うし、双子が「いた!」
とか「いなくなった〜」だの言ってい るので、気味悪がった弟のお嫁さんが
最近祈祷師を呼んでお祓いをしてもらったのです。

私は別に害もないし、こわくもなくなったので、お祓いをしてもらおうとは思いません。
もしあの世というものが本当にあるなら、私もいずれ死んだら 幽霊になるのですから。
友達とは菜食にすれば、もっとよく見えるようになる だろうかなどと話してます。
それと出産を経験すると、今まで見えていたのに 見えなくなったとか、
逆に見えるようになったというような話も聞いたことが あるので、
私がもし子供を産んだら、彼が見えなくなってしまうのかな〜と
ちょっと寂しい気がします。


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