「幽体離脱」

気がつくと、目の前は天井でした。

右の方の天井中心には、見慣れた 室内灯、

何故?目の前に天井が?

どうやら、自分の部屋の空中にフワフワ浮かんでるみたいです

? なしてこげな?

どぎゃんかせんといかん、

と、何とか体を 反転させた所、床の上に横たわる自分と、
見たことも無い男が、ゴソゴソと机の中を 物色中でした……

思い出しました、強盗です。

家の中に強盗が侵入し刺されたのです。
その瞬間、どうやら幽体離脱し、
霊体となつて中に浮かんでいるのです。

よく見ると、床の上の自分の遺体の腹には
包丁が刺さっているではありませんか。  

この強盗野郎、よくも俺を殺しやがって

と、強盗を殴っても、何の手ごたえも無く 擦り抜けて…
どうやら霊体には実体に触れる事が出来ないみたいです。
だったら、自分の 遺体にもどってみればと、倒れている
自分に重なってみました、

その瞬間、

 

ぬおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ  

 

何だ?この腹の痛みは?

ああ、そうか包丁が刺さって いたんだ、
まるで死ぬ程の痛みを堪え、包丁を抜きました、

 

ぐぬおおおおぉぉぉぉぉぉぉ  

 

これってまるで、切腹を途中で中止した武士の後悔そのものです、

どさっ、殺したはずの 自分が、突然生き返って驚いた
強盗が床で腰を抜かしています。

今だ、

包丁をかざし、 強盗に襲いかかりました、
強盗も必死です、体勢を変え、自分の首に両手をかけました。

 

ぐえええええええええっっっ、

 

このままでは、今度は強盗に窒息死させられてしまいます
最後の力を振り絞り、強盗の胸に包丁を突き立てた瞬間、
強盗は、自分ののどぼとけを 潰しました
。  

恐ろしい事です

生まれて初めて、他人に殺され、
他人を殺すと言う体験をしました。

床の上には、死んだ自分と、強盗の死体が横たわっています、
どうやら、又自分も、そして 今度は強盗も、幽体離脱して
空中に浮遊しているではありませんか、
目の前の強盗には 手を触れる事が出来ないみたいです、
もはや、あまりの激痛の為、絶対に自分の肉体には
戻りたくはありません、

いったい、どうすれば良いのでしょうか?  


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