「長距離バス」
快適な空調、心地よい振動、そこは、
大阪梅田行きの長距離バスの車内でした。
時刻は深夜2時過ぎ、
どうやらうたた寝をし、窓に頭を当て目覚めたようです、
ゆっくりと流れる 夜景を眺めてると、
ふと反対側の座席の客が窓に映りました。変です、
そこには、真中が剥げたおやじが居たはずなのに、
真中どころか、頭全部がハゲているではないですか、
と言うか、 頭と顔の皮膚ごと剥げている、つまり骸骨が座って、
いや寝込んでいるではないですか、
ゆっくりと 振向き確認すると、間違いなく骸骨です。何だあれ?
座席から腰を浮かせ、前後を確認してみると
どいつもこいつも骸骨になっていました、それだけではありません、
自分の手を見て、窓ガラスで確認すると、
自分自身も骸骨になっている事に気がついたのです。何が何やら訳が分かりません、
まるで 映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」あの1シーンそっくりです。もしかしたら、このバスは、霊界逝きの長距離バス?だったら
えらいバスに乗り合わせてしまったと 席を立ち運転席の方へ行くと、
当然の様に運転手も骸骨でした。そのとき訳も分からず、自分でも 何を言ってるのか分からない
言葉を叫んでいました、もつとも喉も骨だけなので声は出てませんが、
その時、 気がつくと数体の骸骨と、取っ組み合いになってました、ゴツ、
ゴキッ、
ガツッ、
骨と骨の当る嫌な音、
ついに3体の骸骨に取り押さえられ強制的に席に戻され、
そして目が覚めました。バスはパーキングで駐車し、窓の外では救急車の回転灯、
乗客の1人が運ばれて行ってます。
前席の乗客に尋ねると、一番前席の乗客が、指の痛みを訴え、
救急を呼んだそうです、救急隊員によると「患者の指の骨が消えてる」
と不思議がっていたとの事でした。 私
は、恐る恐る右手を開いてみました、
そこには2本の指の骨?らしき物がありました……。