「轢き逃げ」
私が中学生の時、帰りが夜遅くなったので親に車で
迎えに来てもらい、家路を急いでた。
しばらくして、はるか向こうの道の端にスーツを
着たおっさんがはっきりと見えた。だが、それが変。
私は結構目が悪く、そんな遠くのものが見えるはずも無い。
第一、街灯も満足に無い夜の田舎道。 しかも、
そのおっさんは透けて、向こうの景色が丸見え。私は「あー幽霊だ。こんなところにいるんだー。」
と思いながら車に乗っていた。やがて、おっさん近くまで走っていくうちの車。
とその時、おっさんは挑戦的な笑みを浮かべながら
こっちを向いた。
直感的に、うちの車に飛び込んでこっちを狼狽させる
ような作戦に違いないと思い、心の中で「バーカ!お前なんか轢いてやるよ!」
と悪態ついてやった。
うちの親は霊感0だから。
案の定見えてなかった親は、ためらい無くスーツの
おっさん幽霊を轢いた。
轢いた直後の驚いたような、悔しそうな顔が印象的だった。