「舌温泉」

R県とE県の県境付近の国道に地図にすら無い小さな温泉街への
入り口があります。過疎化が進行してるせいか、町並みが昔風で
あっちこっちにオロナミンCや由美かおるなどのボロボロの看板
が目に付きました。ここが温泉である事は手書き看板により知っ
たのです。
さて、B氏は、現在必死で軽四を押し、何とか、これまた、やた
ら古びたスタンドへとたどり着きました、B氏は、気ままなドラ
イブ中、道に迷い、この温泉街に迷い込みガス欠になったのです、
スタンドにも、正面の駄菓子屋、交番はおろか、そこらじゅうの
民家に、人の気配すらありません、かなり離れた所のグランド、
雑貨店、公園にすら誰一人いないのです。
とほうに暮れるB氏、そのうち誰か来るだろうと、疲労もピーク
に達してたので、車内で誰かを待つつもりで、給油口カバーを開
けて何時の間にか眠ってしまったのです。

「レギュラーですね?お待たせしてすいません」

その声に目を覚まし、反射的に

「現金満タンお願います」とB氏

「ゴトン」 

ドアミラーでスタンドの人が車に給油してるのが見えました、
やがてウィンドウを拭きはじめ、B氏はふと見た時計で、自分が
1時間も寝てた事に気がつき、腰の疲労回復の為、車から下りて
ストレッチを始めました 「ガタン」満タンになったのか自動給
油が停止したのを確認し財布を取り出したB氏は、とんでも無い
物を目撃してしまったのです。
それは、スタンドマンの口から、1m程の舌が出て、車から給油
ガンを抜いてるのです、手は給油口のキャップを絞め、舌は器用
に給油ガンを定位置に戻してます。今度は舌が2m程にのび、
レシートを舌で掴むとB氏の前に持って来ました、舌は3m程に
まで伸びてます。「3460円です」その声?は声でなくどうや
ら直接B氏の頭に聞こえてきたのです、

「ヒイィィィィィィィィィィ〜ッッ」

B氏は、その場へ財布を落とし後方へ飛び逃げました、舌の位置
はそのままでスタンドマンは車のナンバーを確認した瞬間、困った
表情をし「あんた、この近くの人じゃないね」と頭の中へ声が聞こ
えた瞬間、駄菓子屋、交番、民家などそこらじゅうから、いったい
どこにこれだけの人が?と思える程、大量の人間がわいて出て集ま
って来ました。

「何だい」
「どーした」
「昼寝の邪魔するんじゃないよ」

と何時の間にかB氏は大勢の人間に取り囲まれそれぞれの声が直接
頭の中へ流れ込んできてます。全部で18人程います。

「よそ者かい」
「誰も見張ってなかったのか」
「見張り番の次郎はどこだよ」
「何だって外の人間がいるんだ」

とにかく大量の声が一度に頭の中へ侵入して来たのです。
何とかその場を逃れようと人垣の隙間から逃走しかけた瞬間、
ほぼ、その場の全員の口から2〜3m舌が一斉に伸びてきてB氏
の行く手を遮りました、

「どうする」
「困ったな」
「何てはた迷惑な人間なんだい」
「焼くか?埋めるか?」

と頭に直で聞こえてきてます、
どうやらB氏の処分を相談してるようです、
殺されてはたまりませんB氏も心の中で叫びました

「誰にも言わないから助けてくれ」

すると、数枚の舌がB氏の顔面付近に接近してきて

「あんた、ここで何か見たかい?」
「どーなんだ?」
「正直に言え」

と大量の舌に詰め寄られました  

「何も見てません!!」

心の中の大声で叫ぶB氏、暫くの沈黙の後、そこにいた全員の舌
は口の中へ戻って行ったそうです。そして、大勢の人間も背を向
けてそれぞれの方向へ戻って行き誰もいなくなったそうです。放
心状態のB氏はスタンドの人に肩をたたかれ我に返りました

「お釣り財布に入れときました、また、どうぞ」

と、今度は手でB氏に財布を手渡すとスタンドの裏へ消えてしま
ったそうです。B氏は慌てて車に飛び乗るとタイヤを馴らし猛ス
ピードでその場から逃げたそうです。どこをどう走ったのかほと
んど記憶がなかったと言ってました。数年後、この話を友人にし
た所、その温泉を探そうとむりやり友人に誘われ「入り口」まで
ならと言う約束で出かけたそうですが、結局、道すら見つからな
かったそうです。

この話を、すると誰も信じないばかりか、「妄想だ」「妄言だ」
「そんな者おるわけが無い」「進化をなめとるのか ダーウィン
に謝罪しろ」「人は猿が進化したんじゃ無い、人の祖先は神だ」
ニワトリ「このチキン野郎」などと、よってたかったボコボコに
否定されるそうです。1988年、ハラルト・シュテュンケル著
「鼻行類」(鼻が手足、翼のごとく進化した実在生物?の存在)
も、否定されまくりました。万が一何らかの理由により人間の手
足が使用出来なくなった場合、手足の次に使うであろう場所は、
唇や、舌であると考えられます、この世の中の何処かには、舌の
進化した集団が存在などするわけがない などと完全に否定出来
るのでしょうか? 

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