「狐憑き」
友人の話ですが、彼女の老母は長く病の床につき、
自力で立ち上がることも、話や食事もできない程
弱っていました。それがある日突然すさまじい
勢いでモノを食べ始め運んでも運んでももっと
欲しがり出し、がっつきながらモノを食べる老母の
顔は、以前の柔和さを失い、口は大きくなり
目つきが鋭く、まるで別人の顔だったそうです。
そして老母が「もっと食べるものを持ってこい!」
と叫んだとき、友人も堪えきれず叫び返しました。
「誰か憑いているんでしょ?!」
その言葉を聞いた老母はニヤリと笑いながら
言ったそうです。
「わかったか・・・」その後数日間モノを食べつづけ、気に食わなければ
娘を殴り、近所を徘徊した老母(に憑いた何か)は、
ある夜友人に向かって
「自分は空腹でたまらなかったが、この(老母の)
体は3日後の朝に終わってしまうから、もう出て
行ってやる」と言い、言葉の通り、依然のような
弱々しい状態に戻った彼女の母は3日後朝に
亡くなったそうです。その友人はこういった類の話を全く信じない人間
なのですが、自分の身に降りかかったこの事件を
きっかけに、非科学的で不可解なものの存在にも
少し理解を示すようになったそう。