「めがね橋」

あれは忘れもしない19歳の夏の夜。
夏休み中だったこともあり、仲間12人で「肝だめし」がてら、
ある峠へ出掛けた時のお話。

その峠は昔からオバケの出る名所があった。
『めがね橋』といい、通りから少し山の中へ入って行った所にあった。
一応立ち入り禁止のところで簡単なバリケードがあったのだが、
少しハジをこじ開けて獣道みたいなのを登って行った。
この『めがね橋』という所は昭和の中頃まで旧国鉄(今のJR)の
列車が走っていた線路で、トンネルとトンネルの間に架けてある
橋脚が『めがね』に見えるのでそう呼ばれていた。

その日は霧が濃く、懐中電灯で照らした道には多少のコケが
生えていて 足元は滑りやすく、数人は転んでいた。
それでもめげずに登っていくと段々と『めがね橋』が近付いてきた。
やっとの思いでたどり着き手前のトンネルを背にして橋の上に立ち
先のトンネルの方 を見た。 その時、妙に生暖かい風が吹き霧がはれた。
次の瞬間橋の上に白く浮かび上がる人影が見えた。
そしてその人影は段々コチラに近付いてきた。
ヤバイっ!と思った我々は帰ることにして後を振り向いた。
そうしたら目の前に現れたのである。
蒼白い顔で恨めしい目でコチラを見ていた。
距離にして2m位だったと思う。 とにかく「この場から逃げなきゃ!」
と思い気が狂ったように走って山道を下り乗ってきた車に飛び乗り
峠のふもとのドライブインに逃げ込んだ。
その晩はすごく蒸し暑い夜なのに震えが止まらない、
「何か温まるものを!」という ことでドライブインの食堂に入った。
そうしたら食堂のオバちゃんが注文を取りに来ながら
水の入ったコップを持ってきた。

13個!

オバちゃん「あれ?後の人はトイレ?」
「ワシらは12人なんですけど……」と言ったら
「えっ、だって色白の女の人と一緒に……」

その年の秋、きのこ採りをしていた人達が我々が行った付近で
白骨化した遺体を見つ けたというニュースを聞いた・
その日以来、ワシらは「肝だめし」は止めている……


  終わり   

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